狭心症の治療に使われる薬

心臓に血液を送り込む冠動脈の動脈硬化が進行すると「狭心症」を発症することがあります。さらに「心筋梗塞」へと進行した場合には、命にも直接かかわるだけに狭心症の治療は非常に大切です。

狭心症とは?

狭心症は、心筋(心臓の筋肉)に酸素や栄養を供給する冠動脈の内腔が狭くなって一時期的に血流不足となり、胸痛などの発作を起こす病気です。原因は、冠動脈の動脈硬化でさらに内腔が狭くなったところに血栓などが詰まると血流が途絶え、心筋梗塞を引き起こします。狭心症は以下のように分類されますが、治療は大きく2つに分類されるのが一般的です。

狭心症の分類

器質性
狭心症
苦作性狭心症
運動負荷をかけた際に発作が起こるタイプ。器質性異常狭心症では、冠動脈の狭窄により血流が少なくなっているため、運動で負荷がかかって心筋での酸素の消費量が増えて際に供給が追いつかず発作が起きる。
安静時狭心症
運動負荷がかかっていない安静時に発作が起こるタイプ。冠動脈の痙攣による冠攣縮性狭心症が代表的だが、器質性狭心症でも重症になると苦作時だけでなく安静時の発作もみられる。
冠攣縮性
狭心症
安定狭心症
冠動脈の狭窄はあるが、動脈硬化巣の表面が被膜で覆われていて血栓ができにくいタイプ。狭心症の発作は起こるもののすぐに心筋梗塞につながるわけではない。
不安定狭心症
冠動脈硬化巣が破れやすく血栓ができやすいタイプ。心筋梗塞に以降する危険性が高い。

器質性異常狭心症

冠動脈の動脈硬化が進んで、明らかな狭窄部があるものです。坂道や階段を上るなど、体を動かした際に心筋の酸素消費量が増えて血液の供給が追いつかなくなり、胸痛などの発作症状が起きます。重症化すると、苦作時以外に安静時にも起きるようになります。

冠攣縮性狭心症

冠動脈が激しく痙攣するために内腔が一時的に狭くなり、血流が不足するものです。安静時に起こる狭心症の代表的なもので日本人に多く見られます。発作の特徴は、深夜から早朝にかけて起こります。

治療法

狭心症であれば、発作時には、ニトログリセリンといった即効性の硝酸薬を服用し、発作を鎮めます。日常的に行う治療は、禁煙、肥満解消、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの危険因子を減らします。動脈硬化の進行を防ぐとともに狭心症のタイプや重症度に応じて次のように治療を行います。

薬物療法

主に硝酸薬やカルシウム拮抗薬、β遮断薬などを服用し、発作を予防します。血栓を防ぐために抗血小板薬を使用する場合もあります。

カテーテル治療

最近、よく聞く治療法です。冠動脈の狭窄部位をバルーンのついたカテーテルを送り込み内側から広げたり、ステントと呼ばれる金属製の網状の筒を設置し、狭窄を防ぎます。

冠動脈バイバス術

天皇陛下が行われた手術で有名になりました。外科手術により冠動脈にほかの血管をつなぎ、狭窄した冠動脈にかわる血液の供給路をつくります。

狭心症の治療に使われる薬

狭心症の一般的な治療薬は、発作を抑える、または予防する硝酸塩のほか、冠攣縮性狭心症では、カルシウム拮抗役、器質性狭心症ではβ遮断薬が処方されます。

硝酸塩

冠動脈や末梢の血管を広げて、心臓の負担を軽減する作用をもつ、狭心症の代表的治療薬。器質性狭心症にも冠攣縮性狭心症にも処方されます。古くから知られるニトログリセリンと同様の作用をもつイソソルビド硝酸塩、イソソルビド硝酸塩などが処方されます。
発作を止めるための即効性のものと発作を予防するために使う持続性のものとがあり、以下のようにたくさんの種類の硝酸塩があります。

狭心症に用いる主な硝酸塩の種類

ニトログリセリン
舌下錠
ニトロペン、ニトログリセリン
スプレー
ミオコール
軟膏
バソレーター
テープ
バソレーター、ニトロダームTTS、ミリス、ミニトロ、メディトランス
舌下または、内服錠
ニトロール、硝酸イソソルビド
イソソルビド硝酸塩
スプレー
ニトロール
徐放剤
ニトロールR、フランドル
テープ
フランドル
イソソルビドー硝酸塩
徐放剤
アイトロール

発作時に使うのは主に舌下錠で舌の下に含んで粘膜から吸収させ作用させます。ニトログリセリンは、舌下に含んで1分ほど経過すると効き始め20~30分効果があります。
イソソルビド硝酸塩では、舌下に含んで2~3分ほどで効き始め、ニトログリセリンよりも少し長く作用します。口の中が乾きやすいドライマウス体質の人には、舌下に噴射して使用する「スプレー」タイプもあります。噴射してから1分ほどで効き始め、効果は60分続きます。
発作を防ぐために使うのは、内服薬が基本ですがテープなどの外用薬も処方されるケースもあります。服用の有無がわからなくなってしまう人などにテープが処方されます。

使用上の注意と副作用

副作用は、頭痛、顔面紅潮などですが、これは血管の拡張によるもので、薬が効いている証でもあります。慣れると治まってくる場合もあるので我慢できるのであれば様子を見ます。
そのほかには、めまい、動悸、品脈、血圧低下などがあります。閉塞隅角緑内障のある人は眼圧を上げる危険性があるので使用厳禁です。勃起障害治療薬との併用もできないので注意します。

カルシウム拮抗薬

降圧剤として高血圧の薬に使われている薬で、血管を拡張させる作用があります。冠動脈を拡張させて血流を改善するとともに全身の血管を拡張させて心臓の負担を減らし、酸素消費量を減らします。狭心症の発作を防ぐためにも有効で
冠攣縮性狭心症心筋症では欠かすことのできない重要な薬です。ジルチアゼム、ニフェジピンをはじめ、アムロジピン、ニフェジピン、エホニジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、ベプリジル、ベラパミルなどの薬が治療に使われます。
1日2回服用するのが一般的ですが、服用時間は、狭心症のタイプにより異なります。薬によって作用の強さに違いがあり効果には個人差があります。服用してみて様子を確認しながら種類、量を調節します。血圧の測定も重要です。

使用上の注意と副作用

末梢血管を拡張させることから、副作用としては、顔面紅潮やほてりが多く、頭痛、めまいなどが起こる場合があります。急に服用を中止すると命にかかわる不整脈を起こすこともあるので事故判断で薬の中止、減量をしていはいけません。

β遮断薬

心筋が必要とする酸素量は、血圧と心拍数により決まります。β遮断薬は、血圧を下げ、心臓の働きを抑制し、心拍数を低下させることから、心筋が必要とする酸素の量を減らし、狭心症の発作を防ぐ効果があります。
特に器質性狭心症の発作には効果があります。
冠攣縮性狭心症では、β遮断薬のみを使用すると、病状を悪化させる場合があるとも言われています。他の薬と併用すれば実際には問題にならないので心配はいりません。
器質的な冠動脈の狭窄と冠攣縮が合併しているような人では、カルシウム拮抗薬とβ遮断薬の併用が効果的です。
β遮断薬には多くの種類があり、高血圧の薬としても使われていますが、狭心症によく処方されるのが、アテノロール、ビソプロロール、プロプラノロール、メトプロール、カルベジロールなどでになります。作用時間の長さによって使い分けます。

使用上の注意と副作用

脈が遅くなりすぎると生命に関わる不整脈が起こる場合があるので十分に注意します。心不全のある人は特に慎重に使います。また、急に服用を中止すると、不整脈や狭心症、心筋梗塞などを誘発する危険性があるので勝手に減量したり、中止してはいけません。減量する場合は、少量ずつ行います。

冠血管拡張薬

これまでに挙げた基本的な薬に加え、次のような冠動脈の拡張作用をもつ薬を併用することがあります。
いずれも単独では効果があまり得られない薬です。ニコランジルは硝酸塩と血管拡張薬の作用を併せ持つ薬で、血管拡張作用については、カルシウム拮抗薬ほど強くありません。が血圧をあまり下げない薬です。
副作用が少ないのがメリットです。そのほか、ジピリダモール、ジラゼプ、トラピジル、トリメタジジンなどの薬は冠動脈の拡張作用に加えて、次の抗血小板の作用も一部併せ持っています。

抗血小板薬

血小板の作用を抑制して血液を固まりにくくし血栓の生成を防ぎます。アスピリンやその配合剤のアスピリン・ダイアルミネートをはじめより作用が強いチクロピジンやクロピドグレル、末梢血管の拡張作用もあるシロスタゾールなどがあります。器質性狭窄症では、血栓ができて心筋梗塞が起こるのを防ぐために、少量のアスピリン・ダイアルミネートの不況を続けることを推奨しています。そのほかは、狭心症そのものの治療薬とは異なりますが冠動脈のカテーテル治療後は、抗血小板薬の服用が必須です。冠動脈にステントを留置した際には、通常、アスピリンにチクロピジンかクロピドグレルを併用します。

使用上の注意と副作用

出血しやくなります。チクロピジンを服用すると、血小板や白血球の減少、肝障害などの副作用が出る場合があるため定期的な血液検査が必要です。

狭心症の発作を防ぐ薬一覧

一般名
代表的な商品名
カルシウム拮抗薬
アムロジピン
アムロジン、ノルバスク
エホニジピン
ランデル
ジルチアゼム
ヘルベッサー
ニソルジピンン
バイミカード
ニトレンジピン
バイロテンシン
ニフェジピン
アダラート、セパミット
ベニジピン
コニール
ベプリジル
ベプリコール
ベラパミル
ワソラン
β遮断薬
アセブトロール
アセタノール、セクトラール
アテノロール
テノーミン
アルプレノロール
レグレチン
オクスプレノロール
トラサコール
カルテオロール
ミケラン
セリプロロール
セレクトール
チリソロール
セレカル
ナドロール
ナディック
ニプラジロール
ハイパジール
ビソプロロール
メインテート
ピンドロール
カルビスケン
プフェトロール
アドビオール
ブロプラノロール
インデラル
ベタキソロール
ケルロング
メトプロロール
ロプレソール、セロケン
アロチノロール
アルマール
カルベジロール
アーチスト
冠血管口調薬
ジピリダモール
アンギナール、ペルサンチン
ジラゼブ
コメリアン
トラピジル
エステリノール、コロルナール
トリメタジジン
バスタレル
ニコランジル
シグマート

痛風・高尿酸血症の治療に使われる薬について

痛風は、単に激痛がおきるだけでなく血液中の尿酸が過剰になる高尿酸血症が問題となります。ふだんから尿酸値を安定させ高ければ下げる治療が必要です。痛みは万力で締めつけられたような強烈な痛みで、大人でも2、3日は全く歩けなくなるほどの痛みです。

痛風・高尿酸血症とは?

足の親指の付け根の関節が腫れる痛風は、血液中の尿酸が結晶化することで強い炎症を引き起こします。尿酸は、体内の新陳代謝によって生じる物質で、健康な体にも普通にとけ込んでいますが、過剰になると痛風の症状を引き起こします。血液中の尿酸が多くなりすぎるのが「高尿酸血症」です。性別を問わず血清尿酸値が7.0mg/dlを越えてしまうと痛風発作を起こす可能性が高くなります。高尿酸血症には、尿酸排泄低下型、尿酸産生過剰型の2つのタイプがあります。尿酸排泄低下型は、尿酸を排泄する能力が低下しており、、尿酸産生過剰型は、体内で尿酸が体内で尿酸が過剰に生成されすぎています。、また、このふたつが混合している混合型の3タイプに分けることが出来ます。
痛風発作自体は、治療をしなくても数日~1週間ほどで治まりますが、尿酸値が高いままであれば、発作を繰り返したり、皮下結節ができたり、尿路結石や腎障害などの合併症の可能性もでてきます。
高血圧脂質異常症など、他の生活習慣病とも合併しやすく、動脈硬化を進展させたり、悪化させたりする危険性が高まります。
動脈硬化がすすすむと、心筋梗塞、脳卒中などの重大な病気の危険性も高まります。
痛風そのものも危険な症状ですが、実際にはこうした合併症の危険度が高いのです。

治療法

高尿酸血症の治療は、他の生活習慣病と同じで食習慣、生活習慣の改善が基本となります。主に、食事量を抑制する、肥満を解消する、飲酒量の抑制、適度な水分摂取、ストレスの発散、適度な運動…などです。
体内の尿酸を増やすアルコールについては、十分に注意し、まめに水分補給するようにします。
こうした生活習慣、食習慣を改善しても尿酸値が十分に下がらない場合に、薬物療法を加えます。痛風発作を起こしている人であれば、この薬物療法と生活習慣、食習慣の改善を併行して行っていきます。痛風の薬物療法は、主に3つの目的で行います。

  1. 痛風関節炎の治療…痛風発作の炎症や痛みを抑える薬です。
  2. 高尿酸血症の治療…6.0mg/dl未満を目標に尿酸値を下げる薬を用います。たまった尿酸を溶かして痛風発作、合併症などを防ぐ薬です。
  3. 尿路結石を防ぐ薬…尿が酸性になると、尿酸が溶けにくくなり尿路結石が出来やすくなるため、尿をアルカリ性に保つ薬です。
  4. 【痛風発作を抑える薬】

    コルヒチン

    痛風発作緩解薬のコルヒチン。かなり前から痛風の特効薬として知られる薬です。痛風発作を抑える、軽減するといった両効果があります。ただし、症状を抑えるのみで根本的治療にはなりません。痛風発作では、関節にたまった尿酸の結晶が剥がれ、白血球がそれおw排除しようとする結果、炎症が生じて痛みが生じます。
    コルヒチンは、白血球の作用を抑えて炎症を起こす物質が放出されないようにすることで発作を抑えます。痛風発作を起こしたことのある人は、この薬を携行し、発作の予兆があったらすぐに予防的に服用します。尿酸値を下げている途中は発作が起こりやすいのが特徴です。

    使用上の注意と副作用

    下痢などの消化器症状があらわれる場合があります。男子の場合、多量に服用すると、精子形成に影響するという報告があります。薬を増量すると副作用がでやすいので必要なときに必要なだけ使うようにする服用方法を守ります。
    シメチジン(胃潰瘍薬)、エリスロマイシン(抗菌薬)、ニフェジピン(降圧剤)などとの併用で作用が増強される場合があります。
    発作の際に1~2錠程度服用する程度あれば心配いりません。

    非ステロイド系消炎鎮痛薬

    痛風発作が起きてしまったら関節の炎暑を抑えて、痛みや腫れなどを鎮める非ステロイド消炎鎮痛薬が治療の中心となります。一般的に痛み止めとして使われる薬ですが、痛風には、インドメタシン、ナプロキセンプノプロフェンなどです。
    痛風の発作は、激しい痛みのためパルス療法といって腰痛などで用いる通常量よりも多めの量を1~2日間だけ使用します。その後も痛みが残るようであれば、通常量を服用します。
    痛みが改善されれば服用は中止します。

    使用上の注意と副作用

    副作用は、胃腸障害ですが、服用期間が短期間なため問題になることはほとんどありません。腎不全患者には使用できません。

    ステロイド薬

    痛風関節炎が同時に何カ所も起きた場合、あるいは、非ステロイド消炎鎮痛薬が使用できない場合、また、使っても効果がでない場合には、ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)が処方されます。
    炎症を強力に抑制し、痛みや腫れなどを取り除きます。代表的な薬は、プレドニゾロンです。内服で用いるほか、関節への注射が行われることもあります。急にやめるとリバウンドが起こるので、内服薬の場合、1日15mgを1週間、10mgを1週間、5mgを1週間といった段階的に減量する服用法を推奨しています。

    使用上の注意と副作用

    短期間使用になるため感染症といった副腎皮質ホルモンの特徴的な副作用は心配いりません。服用中は、自己判断でやめたり量の変更を行わないようにすることが何より大切です。

    【尿酸値を下げる薬】
    尿酸値を下げる薬である「尿酸降下薬」には「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」があります。以下の表のとおりです。

    尿酸降下薬の種類と特徴

    分類
    尿酸排泄促進薬
    尿酸生成抑制薬
    商品名
    • ブコローム(パラミヂン)
    • プロベネシド(ベネシッド)
    • ベンズブロマロン(ユリノーム)
    • アロプリノール(アロシトール、ザイロリック、サロベール、リボール)
    特徴

    〔適応〕尿酸排泄低下型、アロプリノールが使えない人

    • 尿酸値の低下は速やか
    • 尿中の尿酸濃度を高める
    • 主な副作用:尿路結石、ベンズプロマロンではまれに重症の肝障害、プロベネシドでは薬剤相互作用、ブコロームで消化性潰瘍など

    〔適応〕尿酸産生過剰型、尿路結石や腎機能障害がある人、尿酸排泄促進薬が使えない人

    • 尿酸値の低下は緩やか
    • 尿中の尿酸濃度を低下させる
    • 主な副作用:時に軽い肝障害、湿疹など。腎不全のある人はまれに重篤な症状がでることも。

    タイプにより尿酸排泄低下型には尿酸排泄促進薬を用い、尿酸産生過剰型には、尿酸生成抑制薬を用いるのが基本的な処方です。
    尿酸値を下げる薬は、最少用量からスタートし、尿酸値が6.0mg/dl未満になるまで量を少しずつ増量していきます。

    尿酸排泄促進薬

    腎臓でろ過された尿酸の再吸収を抑えて尿酸の排泄量を増やす薬です。主に尿酸排泄低下型の高尿酸血症の患者さんに処方されます。現在、使われている薬は、ペンズプロマロンです。これが使えない場合には、プロベネシドやブロロームを用いることもあります。ベンズブロマロンは1日に1回服用が一般的ですが、2~3回に分けて服用する場合もあります。

    使用上の注意と副作用

    尿中に排泄される尿酸が増え、尿路結石が出来やすくなるため、水分を多めに摂取して尿量を増やし、尿中の尿酸濃度が高くなりすぎないようにコントロールします。通常、尿アルカリ化薬を併用します。また、ベンズブロマロンでは、まれですが、重い肝障害が起こることがあるたため、定期的に血液検査を行い肝機能チェックを行います。

    尿酸生成抑制薬

    肝臓での尿酸合成にかかわる酵素の働きを阻害して尿酸がつくれるのを妨げる薬で主に尿酸産生過剰型の高尿酸血症の人に用いられます。現在、一般的に使用されているのは、アロプリノールです。1日1回朝1錠が基本ですが、作用時間が短く1日2回、朝晩に分けて飲む処方も多くなっています。

    使用上の注意と副作用

    腎不全のある人が多量に用いると、薬の成分の血中濃度が増え中毒症状がでてしまう場合があります。中毒症状では、過敏性血管炎、再生不良貧血に注意します。少量から使い始め、血液検査を定期的に行います。
    併用で注意するのは、アザチオプリンやメルカプトプリン(気管支炎拡張薬)、ワーファリン(抗凝固薬)などです。
    薬の相互作用による問題はほとんどありませんが、希に肝障害が起きる場合があります。
    尿酸を溶けやすくする薬
    痛風の人は尿路結石が出来やすく、その予防に処方される薬です。

    尿アルカリ化薬

    尿をアルカリ性に傾けて尿酸を溶けやすくし、結晶化を抑制する薬です。従来は炭酸水素ナトリウムが使われていましたが、現在は、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウムが処方されます。
    1日に2~3回食後に飲みます。尿路結石は尿が酸性に傾くほどできやすくなるため、尿をアルカリ性に保つのが重要です。尿酸値を下げる効果はないので、生活習慣、食習慣には注意しながら生活します。
    尿酸排泄促進薬を服用して、尿中の尿酸が増加すると同時に尿路結石のリスクも高まるため、尿アルカリ化薬を併用します。

    副作用・使用上の注意

    危険な副作用はほとんどなく安心して服用できますが、ナトリウムが含まれているために高血圧や心臓病がある人は注意が必要です。現在用いられている配合剤はナトリウムの含有量が炭酸水素ナトリウムのおよそ半分です。カリウムのt高い人には使えません。

脂質異常症(高脂血症)の治療に使われる薬について

血液中のコレステロールや中性脂肪が過剰な状態は、動脈硬化を促進しやすく、特に心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患や、脳梗塞などの発症と関連性が深いと考えられています。食事療法と運動療法を基本に、必要であれば薬剤によるコントロールも必要になります。

脂質異常症とは

5年ほど年に動脈硬化予防のためのガイドラインが改訂され、従来の「総コレステロール値」にかわり、「LDLコレステロール値」を中心に診断する新しい治療指針が登場しました。それまで、「高脂血症」と呼ばれていた病気が「脂質異常症」と改められています。
新しい診断基準は「悪玉」とされるLDLコレステロールや中性脂肪の値が高すぎる場合に、善玉とよばれる「HDLコレステロール」の値は低すぎる場合に、脂質異常症と診断されます。

脂質異常症の診断基準(空腹時)

  • 高LDLコレステロール血症…LDLコレステロール値140mg/dL以上
  • 低HDLコレステロール血症…HDLコレステロール値40mg/dL未満
  • 高中性脂肪(トリグリセライド)血症…中性脂肪(トリグリセライド)値150mg/dL以上

総コレステロール値は、血清脂質を把握するために重要ですが、脂質異常症の診断基準からは、あえて外され、動脈硬化予防のためのスクリーニングの値や治療の目標値としてはLDLコレステロール値を用いるようになりました。高コレステロールと診断される人の多くは、高LDLコレステロール血症ですが、HDLコレステロールが多いことで総コレステロール値が高い人は、脂質異常症の治療対象にはなりません。

脂質異常症になっても通常は、自覚症状はありませんが、放置すると心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化に関連した疾患を引き起こす原因となることから治療が必要とされています。即、命に関わる病気とリンクしているためにきちんと治療することが大切です。
日常生活や食習慣も改善することも重要となります。

治療法

脂質異常症の中には、遺伝子異常により起こる場合と甲状腺機能低下症や糖尿病、腎臓病などの病気が原因で起こるもの、また、薬の副作用によるものなどがさまざまです。

治療を開始する前には、その原因の特定が重要で併せて血清脂質にどのような異常が起きているかを専門的に徹底的に調べます。病気や薬が原因である場合には、迅速にその原因への対処を行います。

脂質異常症は、食事を中心とする生活習慣との関わりが深く、治療の基本となるのは、まず生活習慣を見直し、改善できない場合に薬物療法の検討になります。

治療目標は、患者さんの体質、生活習慣、危険因子の種類、数によって分類します。この分類はカテゴリー分けとされる作業でそれぞれ目標値を定めます。
LDLコレステロール以外の危険因子は、主に加齢、高血圧、糖尿病、喫煙、冠動脈疾患の家族歴、HDLコレステロール血症などになります。

脂質異常の場合は、高血圧ほど急速に血管に影響を及ぼすわけではありません。狭心症や心筋梗塞の発症経験があるようなリスクの高い場合を除けば、薬物療法を開始する前にまず生活習慣の改善を行います。

脂質異常症の治療に使用される薬

主に、血液中の中性脂肪及びLDLコレステロール値を下げる薬に分類されます。

LDLコレステロール値を下げる薬

スタチン(HMG-COA還元酵素阻害薬

細胞内でのコレステロール合成に重要な役割を果たすHMG-COA還元酵素阻害薬の働きを妨げ、主に肝臓でのコレステロール合成を抑制する薬です。肝細胞内のコレステロールが減少すると、肝臓は、LDLというコレステロールを運搬するリポたんぱくに対する、受容体の活性を高めて血液中からより多くのLDLを取り込むようになります。つまり、血液中の脂質が減少します。LDLコレステロール値を下げる薬としては、最も確実にコレステロール値を低下させ冠動脈疾患の予防効果も確認されています。
LDLコレステロール値を20%、中性脂肪も10~20%ほどさがります。現在、6種類の薬があり、古いタイプのプラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチンに比べ、新世代のアトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンは作用が強く、1日1~2回ほどの服用になります。

使用上の注意と副作用

一般的には、副作用の少ない長期間服用可能な薬ですが、筋障害や肝障害などが起こる場合があります。
特に腎機能が低下している患者さんには、フィブラート系薬との併用時には副作用に十分に注意します。妊娠中、または可能性のある女性には使用できません。

陰イオン交換樹脂(レゾン)

服用後にそれ自体は腸管から排出されずに肝臓でつくられて、腸管に分泌された胆汁中の胆汁酸や食事中のコレステロールを腸管内で吸着して便と共に排泄させる薬です。本来、小腸では、食物からのコレステロールなどの脂肪が吸収されるとともに、脂肪吸収に欠かせない胆汁酸が再吸収されて肝臓に戻ります。レジンがそれを妨げると肝臓細胞は、新たにコレステロールを原料として胆汁酸を生成するためにLDL受容体の活性を高めて血中からLDLを取り込みます。その結果、LDLコレステロールが低下します。コレスチミド、コレスチラミンンが代表的な薬です。
服薬は、1日2~3回で食前の服用です。

使用上の注意と副作用

便秘や下痢などの副作用がありますが、体に吸収されないタイプの薬のため、重い副作用はなく腎機能障害のある人、妊娠中の女性、子供にも使うことができます。ただしl脂溶性ビタミンやほかの脂溶性の薬剤の吸着を妨げる可能性があるため注意します。
脂溶性の薬剤と併用する際には、服用する時間をずらします。

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬

小腸でのコレステロールの吸収を抑える新しい薬で2007年からエゼミブが使われるようになりました。
この薬は、小腸の粘膜にあるコレステロールの取り込み口(コレステロールトランスポーター)を特異的に封じられるような作用により、小腸でのコレステロールの吸収を阻害します。その結果、血液中から肝臓へのLDLの取り込みが促進されLDLコレステロール値が下がります。小腸では、コレステロールの吸収だけを阻害するため、脂溶性の薬剤やビタミンの吸収には影響しません。
単独でも通常の用量でLDLコレステロール値を2割ほど下げる効果がありますが一方で肝臓でのコレステロールの合成が亢進するためその合成を抑制するスタチンとの併用が効果的です。

使用上の注意と副作用

副作用は消化器症状で、肝臓障害や血液検査でCK値の上昇が報告されています。

プロブロール

血清コレステロールを減らす作用があり、黄色腫を改善する薬です。胆汁へのコレステロールの排泄促進以外にも強力な抗酸化作用があることから、LDLの酸化を防ぎ、動脈硬化を抑制する効果も期待できると考えられています。
ただし、HDLコレステロール値の低い人には、向きません。服薬は1日2回。

使用上の注意と副作用

不整脈がまれにでることがあり、また末梢神経炎による手のしびれが起こることがあります。

主に中性脂肪値を下げる薬

フィブラート系薬

脂質異常症の治療では比較的古くから使用されている薬です。中性脂肪を分解する酵素、リポたんぱくリパーゼの働きを活発にしたり、肝臓での中性脂肪の合成を抑制します。中性脂肪値のみが高い人、LDLコレステロール値と中性脂肪値が合併している人に効果的です。糖尿病が合併している人にも適します。代表的な薬は、クリノフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラートです。1日1~2回の服用です。

使用上の注意と副作用

副作用は、肝機能障害ですが腎機能障害が起こる人もいます。スタチンとの併用で横紋筋融解症が起こりやすくなります。
ワーファリンの併用も作用を増強します。

ニコチン酸誘導体

ニコチン酸は、ビタミンの一種で中性脂肪、LDLコレステロールを下げ、HDLコレステロール値を上げます。作用はそれほど強くなく安全性の高い薬です。ニコモール、ニセリトロール、トコフェロールニコン酸エステルが代表的な薬で、1日3回食直後に服用します。

使用上の注意と副作用

末梢血管を改善する作用があり、副作用としてフラッシングがあります。特に日本人に多く見られるため少量から服用をはじめます。

イコサペント酸製剤(EPA)

肴の油に含まれるEPAという脂肪酸からつくられた薬で血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ作用と中性脂肪を下げる効果があります。イサペント酸エチルという薬が治療に使用されます。
スタンチンとの併用で冠動脈疾患の発症を抑制する効果が確認されています。
1日3回服用します。

使用上の注意と副作用

消化器症状が多く、下痢なが報告されていますが、出血が止まりにくくなることがあります。糖尿病網膜症などがある人は注意します。

その他の薬

脂質異常症の薬には、次のような薬も補助的に使用される場合があります。

  • 植物ステロール…植物由来の成分の薬です。代表的な薬は、ガンマーオーリザノール、ソイステロールなどがあります。腸管でのコレステロールを減らします。
  • 脂質代謝異常改善薬…中性脂肪が高い場合に用いられる、デキストラン硫黄ナトリウム製剤、大豆から抽出したリノール酸を含みコレステロール値を下げます。ポリエンホスファチジリコン、肝臓でのコレステロールの分解と排泄を促す、エラスターゼ、パントテ酸の欠乏や代謝障害がかかわる場合に使われるパンテン、高コレステロール血症改善ビタミン剤のリボフラン酪酸エステルなどがあります。

脂質異常症治療薬の特性とタイプ別の使用方法

  • LDLコレステロール値が高い…スタチンを中心に、レジン、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、プロブコールなどが使われる。
  • 中性脂肪が高い…フィブラート系薬を中心にニコチン酸誘導体、EPAなどが用いられる。
  • LDLコレステロール値も中性脂肪も高い…スタチンとフィブラート系薬のいずれかを単独で使用するほか、スタチンとニコチン酸誘導体、プロブコールなどの併用が行われる。
分類名
一般名
代表的な商品名
スタチン
  • アトルバスタチン
  • シンパスタチン
  • ビタパスタチン
  • プラバスタチンン
  • フルバスタチン
  • ロスバスタチン
  • リピトール
  • ロポバス
  • リバロ
  • メバロチン
  • ローコール
  • クレストール
レジン
  • コレスミド
  • コレスチラミン
  • コレバイン
  • クエストラン
小腸コレステロールトランスポーター
エゼチミブ
  • ゼチーア
プロブコール
プロブコール
  • シンレスタール
  • ロレルコ
フィブラート系薬
  • クリノフィブラート
  • クロフィブラート
  • フェノフィブラート
  • ベザフィブラート
  • リボクリン
  • ビノグラック
  • トライコア
  • リピディル
  • ベザトール
  • ベザリップ
ニコチン酸誘導体
  • トコフェロールニコチン酸エステル
  • ニコモール
  • ニセリトロール
  • ユベラN
  • コレシキサミン
  • ペリシット
EPA
イコサペント酸エチル
  • エパデール
  • エパデールS

高血圧の治療に使われる薬について

高血圧とは?

字の通り、血圧が高いことですが、もう少し厳密に医学的に説明すると、血流が動脈の壁に与える圧力のことになります。血管の壁にかかる圧は、心臓の拍動に伴って変動し、心臓が拡張した際に弱くなり、収縮したときに強くなります。血圧の状態は、圧力が高いときの収縮期血圧(最高血圧)と弱いときの拡張期血圧(最低血圧」で表します。
では、どのくらいの値で高血圧と診断されるのでしょうか?
収縮期血圧…140mmHG以上か拡張期血圧が90mmHG以上になると「高血圧」と診断され治療が必要となります。血圧は、日常でも変動するため、複数回、似を替えて測定し、値が安定した2回以上の平均で診断します。普段でも興奮したり怒ったりすれば誰でも血圧は上昇します。
高血圧が続くと、負担のかかる血管が痛みやすく動脈硬化がすすます。特に、脳、心臓、腎臓の血管が障害されやすく脳卒中、心筋梗塞、腎障害などのリスクが高まります。また、高血圧は自覚症状が乏しいのも特徴です。

高血圧の基本的治療方針

高血圧と診断されたら、心筋梗塞や脳卒中などの心臓の血管の危険因子や臓器障害が高血圧以外に、どれぐらい影響があるかによって心臓血管に関連する病気の発症リスクを測定し、そのリスクに応じて治療が開始されます。高血圧と診断された直後からリスクの高い人ほど速やかに血圧を下げなくてはなりません。まずは140/90mmHG未満に下げることが第一目標となりますが、年齢の若い人では、130/85mmHG未満に目標設定するようにします。糖尿病、腎障害があれば130/80mmHG未満に目標設定されます。治療は、生活習慣の改善指導が行われます。

  1. 減塩
  2. 野菜・果物といったカリウム摂取を促進し、ステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
  3. 適正体重の維持(肥満の場合は、減量)
  4. 運動療法(適度な有酸素運動)
  5. アルコールの摂取制限
  6. 禁煙

これらは最低限行うようにします。
こうした生活習慣の改善を行っても降圧目標に達しない場合は、薬物療法(降圧薬治療)を行います。薬を服用するようになっても生活習慣の修正は継続します。
薬が効いて血圧が下がり安定してくると、生活習慣を元に戻してしまう人が多いのですが、薬を中止すれば血圧は上がってしまうことをしっかり自覚しなければなりません。

心臓血管病の危険因子

  • 高齢
  • 喫煙
  • 収縮期血圧、拡張期血圧レベル
  • 脂質異常症
  • メタボリックシンドローム
  • 若年(50歳未満)発症の心血管病の家族歴
  • 糖尿病

臓器障害・心血管病

  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 無症候性脳出血障害
  • 一過性脳虚血発作
心臓
  • 左心室肥大
  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 冠動脈再建
  • 心不全
腎臓
  • タンパク尿
  • 糸球体ろ過量低値
  • 慢性腎不全
  • 糖尿病性腎症
  • 腎不全
血管
  • 動脈性硬化性プラーク
  • 頸動脈壁の肥厚
  • 大血管疾患
  • 閉塞性動脈疾患
眼底 高血圧性網膜症

降圧目標値

  • 若年者・中年者…130~85mmHG未満
  • 高齢者…140~90mmHG未満
  • 糖尿病患者・慢性腎炎/腎不全患者・心筋梗塞後患者…130~80mmHG未満
  • 脳血管障害患者…140~90mmHG未満

降圧治療の進め方

生活習慣を改善しても血圧が目標値まで下がらない場合には、降圧剤が処方されるようになりますが、使い始めるときは、1種類の薬を少量から使い始めるのが一般的です。
ただし、重症の場合には、1種類では十分に血圧を下げることができないために2種類以上使う場合もあります。最近の服用の方法は、1種類の薬を増量するのではなく作用の異なる薬を複数使う場合が増えています。
現在の降圧薬は1日1回服用する長時間作用型が基本です。朝1回飲む服用方法が一般的ですが、朝方に血圧が上昇するようなタイプの人は、就寝前に飲むこともあります。また朝、夕に分けて飲む場合もあります。
血圧の変動に応じて処方されます。1ヶ月ほど続けて血圧が下がればそのまま継続し、不十分でない場合は、増量または、他の薬に変更したりします。通常は2~3ヶ月以内に目標値まで下げるように調整します。

高血圧治療の薬

血圧は、心臓から送り出されて全身を巡る血液の量が増えたり、逆に血管が収縮して内腔が狭くなったりすると上がります。血圧を調整するホルモン、ナトリウムなど、さまざまな要因が影響します。高血圧の治療では、血圧を調整するさまざまな仕組みに作用するように処方します。
降圧剤は、主な作用の仕方によって血管を拡張させて末梢血管での抵抗を減らす薬と心臓の珀出量を抑えて全身を循環する血流を減らす薬の2種類に大別されます。血管を拡張させる薬にはカルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、α遮断薬などがあり、血流を減らす薬には主に心臓に作用するβ遮断薬と腎臓に作用する利尿薬があります。

主な降圧剤の特徴と副作用一覧

血管を拡張させる薬
  対象患者 副作用・注意点など
カルシウム拮抗薬
  • 高齢者
  • 糖尿病、狭心症
  • 脳卒中を起こしたことのある人
  • 顔が赤くなる、むくみ、動悸
  • 徐脈、房室ブロックのある人は使えない
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬
  • 高齢者
  • 糖尿病、メタボ、心血管病、腎障害のある人
  • 空せき
  • 妊娠中は使えない
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
  • 高齢者
  • 糖尿病、メタボ、心血管病、腎障害のある人
  • 副作用は少ない
  • 妊娠中は使えない
α遮断薬
  • ストレスの多い人
  • 前立腺肥大
  • 早朝高血圧
  • 起立性低血圧(動悸、立ちくらみ、めまい)

血流量を減らす薬
β遮断薬
  • 若年・中年者
  • ストレスの多い人
  • 心血管病のある人
  • 徐脈、房室ブロック、ぜんそく発作の誘発
  • インリンを使っている人
利尿剤
  • 高齢者
  • 食塩摂取量の多い人
  • ほかの薬で十分な降圧効果が得られない人
  • 低カリウム血症、高尿酸血漿、糖尿病、脱水
  • 痛風のある人は原則として使用できない

カルシウム拮抗薬

カルシウムが血管を収縮させるのを抑えて血圧を下げる薬です。血管を拡張させる薬の代表的なもので、現在、日本では降圧剤として最も多く使用されている薬です。
血管は、血管壁を構成する「平滑筋」にカルシウムイオンが流入すると収縮します。カルシウム拮抗薬には平滑筋にカルシウムが流入するのを防ぎ血管での収縮を抑制し、末梢血管での抵抗を減らします。結果、血圧を下げる作用をします。また、脳や冠動脈、腎臓などの血流も増やします。さまざまなタイプの高血圧に降圧効果があり、特に高齢者の場合、多くの人に処方されます。カルシウム拮抗薬には多くの種類があります。最近では、アムロジン、アゼルニジピン、エホニジピン、シルニジピンなどゆっくりと血圧を下げて効果が長い時間続く長時間作用のものが主流になっています。

カルシウム拮抗薬の種類

一般名
代表的な品名
アゼルニジピン
カルブロック
アムロジピン
アムロジン、ノルバスク
アラニジピン
サプレスタ、ベック
エホニジピン
ランデル
ジルチアゼム
ヘルベッサー
シルニジピン
アテレック、シナロング
ニカルジピン
ニコデール、ペルジピン
ニソルジピン
バイミカード
ニトレンジピン
バイロテンシン
ニフェジピン
アダラート、セパミット
ニルバジピン
ニバジール
バルニジピン
ヒポカ
フェロジピン
スプレンジール、ムノバール
ベニジピン
コニール
マニジピン
カルスロット

主な降圧剤の特徴と副作用一覧

血管が拡張するため、副作用で顔が赤らむ、むくみなどが出る場合があります。また薬の作用が強すぎると、服用後に一時的に動悸が怒ることもあります。このような症状が出ても薬の方は継続して問題ありません。ただしカルシウム拮抗薬の中でもジルチアゼムだけがタイプが異なり、心臓の機能を抑制する作用があるために脈が遅くなることがあるため房室ブロックのある人には使えません。
グレープフルーツやグレープフルーツジュースを飲むと薬の血中濃度が高くなって血圧が下がりすぎてしまう場合もあります。
グレープフルーツは厳禁です。

ACE阻害薬

血管を収縮させるホルモンがつくられる量を減らし、血管を拡張させる作用の薬です。血圧を調節する人体の仕組みである「レニン・アンジオテンシン系」において血管を収縮させて血圧を上げるホルモン「アンジオテンシンⅡ」が生成されるときに働くのがアンジオテンシン変換酵素(ACE)です。
ACE阻害薬は、この酵素の働きを抑制し、アンジオテンシンⅡの生成を抑制し、毛血圧を下げます。血圧を下げるブラジキニンという物質を増加させる作用もあります。一般的にACE阻害薬は比較的若い人、軽症の高血圧に効果があります。
ただ単に血圧を下げるだけでなく、インスリン抵抗性を改善して糖尿病の発症を抑制する効果も認められています。腎臓、心臓などを保護する効果もあり、軽度の腎障害では、進行まで抑える効果も確認されています。
糖尿病、メタボなどの合併症に期待されています。

使用上の注意と副作用

副作用で「空ぜき」が出やすく副作用が出るとこの薬が使えません。まれに血管神経性浮腫による呼吸困難も報告されています。
また、この薬は、胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため妊婦さんには使用不可能です。
高カリウム血症の患者さんにも使用を避けます。

ACE阻害薬の種類

一般名
代表的な商品名
アラセプリル
セタプリル
イミダプリル
タナトリル
エナラプリル
レニベース
カプトプリル
カプトリル
キナプリル
コナン
シラザプリル
インヒベース
デモカプリル
エースコール
デラプリル
アデカット
トランドラプリル
オドリック、プレラン
ベナゼプリル
チバセン
ベリンドプリル
コバシル
リノシプリル
セストリル、ロンゲス

ARBの種類

一般名
代表的な商品名
イルベサルタン
アバプロ、イルベタン
オルメサルタン
オルメテック
カンデサルタン
ブロプレス
デミサルタン
ミカルディス
バルサルタン
ディオパン
ロサルタン
ニューロタン

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)

血管を収縮させるホルモンの働きを抑制し、血管を拡張させる薬です。ACE阻害薬と同様にレニン・アンジオテンシン系に作用します。アンジオテンシンⅡの刺激を受け取る受容体に結合することでアンジオテンシンⅡの作用を直接遮断して、血圧を下げます。
ARBは、日本では、98年頃から使用され、降圧剤としては、比較的新しい薬です。しかも副作用である空ぜきが起きずにカルシウム拮抗薬に次いで多く使用されています。ACE阻害薬と同様に、インスリン抵抗性を改善する作用、臓器の保護作用があり、糖尿病、心血管病などに対する効果も期待されています。

使用上の注意と副作用

副作用は少なく、せき、血管神経性浮腫などはほとんどおきません。妊娠中の人、高カリウム血症の人には使えません。

β遮断薬

心臓の収縮に関わる交感神経の刺激を遮断し、心臓の拍出量を減らす薬です。交感神経は、血管を収縮させたり心臓の働きを活発にして血圧を下げます。その刺激は、α受容体やβ受容体を介して血管や心臓に伝達しています。
β遮断薬は主に心臓に分布するβ受容体の働きを抑制し、心臓の活動を適正な状態にすることで心臓からの拍出量を減らし、血圧を下げます。交感神経は、もともとストレスの影響を受けやすくβ遮断薬はストレスの多い人に向くとされ、比較的若い人に適する薬とされています。狭心症がある人にもよく使われます。
β遮断薬には、心臓のβ受容体だけに作用するものなどさまざまなタイプの薬があり、疾患や合併症、薬の作用、副作用を考えて選択されます。

使用上の注意と副作用

副作用により、ぜんそく発作の誘発、不整脈(除脈や房室ブロック)、脂質以上症、活力の低下などがあります。
糖尿病でインスリンを使っている患者さんは、「低血糖の症状」がでにくい場合がありますので注意が必要です。

β遮断薬の種類

一般名
代表的な商品名
アセプトロール
アセタノール、セクトラール
アテノロール
テノーミン
セリプロロール
セレクトール
ビソプロロール
メインテート
ベタキソロール
ケルロング
メトプロロール
セロケン、ロプレソール
カルテオロール
ミケラン
チリソロール
セレカル
ナドロール
ナディック
ニプラジロール
ハイパジール
ピンドロール
カルビスケン
プロプラノロール
インデラル
ベンブトロール
ベータプレシン
ボピンドロール
サンドノーム

α遮断薬の種類

一般名
代表的な商品名
ウラジビル
エブランチル
テラジシン
ハイトラシン、バソメット
ドキサゾシン
カルデナリン
ブナゾシン
デタントール
プラゾシン
ミニプレス

αβ遮断薬の種類

一般名
代表的な商品名
アモスラロール
ローガン
アロチノール
アルマール
カルベジロール
アーチスト
ベバンドロール
カルバン
ラベタロール
トランデート

α遮断薬

末梢血管を収縮させる交感神経の刺激を遮断して血管を拡張させ血圧を下げる薬です。α遮断薬は、交感神経受容体のうち、主に血管壁に分布するα受容体の働きを抑えることで血管を拡張させて血圧を下げます。ただし、α遮断薬は、効果の出る人と出ない人がはっきりと分かれる薬です。β遮断薬同じでストレスの多い人に向いています。交感神経が活発に働きだす、朝方に血圧が上昇する「早朝型高血圧」の人が寝る前に服用して早朝の血圧を下げるために用いられます。
糖代謝、脂質代謝にも良い影響をもたらし、高血圧と糖尿病や脂質異常症を合併している人にも使われます。
前立腺肥大症のある高血圧患者に最適な薬です。前立腺肥大症による排尿困難も改善できます。

使用上の注意と副作用

起立性低血圧を起こしやすく、特に薬をはじめて服用した際には、動悸、立ちくらみ、めまいなどの症状があらわれやすいためもともと起立性低血圧症のある人には向きません。

αβ遮断薬

β遮断薬の作用とα遮断薬の作用を両方持つ薬ですが、β受容体を遮断する作用のほうが強くβ遮断薬に準じて用いられます。降圧作用は、β遮断薬より強く一般的には、1日2~3回服用します。

使用上の注意と副作用

β遮断薬と同じで副作用により、ぜんそく発作の誘発、不整脈(除脈や房室ブロック)、脂質以上症、活力の低下などがあります。

利尿薬

尿量を増やし、水分とナトリウムを体外に排出することで血液量を減らし血圧を下げる薬です。
高血圧の治療には、サイアザイド系および類似利尿剤が用いられます。一般に高齢者にはよく効き、過剰な食塩の摂取にって血圧が高くなる場合に有効です。高齢者は漬け物などを食べる習慣があり、塩分摂取過多になりやすい食習慣といえます。
副作用で低カリウム血症が出やすく、糖尿病、高尿酸血症、脂質異常症などがおきやすく、日本では、ほかの降圧剤に少量まぜて使う方法が一般的です。
降圧目的に使用する場合は、利尿剤としての常用では多すぎるため、1錠の4分の1程度の量を用います。そのほかループ利尿薬は主に尿量の増加を目的として用いる薬ですが、そのなかのフロセミドは腎機能が低下した高血圧の人に用いられることもあります。
サイアザイド系利尿薬やルール利尿薬は、尿酸の代謝に影響するため痛風のある人は、原則として処方しません。

利尿薬の種類

一般名
代表的な商品名
サイアザイド系
インダパミド
テナキシル、ナトリックス
クロルタリドン
ハイグロトン
トリクロルメチアジド
フルイトラン
トロパミド
ノルモナール
ヒドロクロロチアジド
ダイイクロトライド
ベンチルヒドロクロオチアジド
ベハイド
メチクラン
アレステン
メフルシド
バイカロン
ループ利尿薬
フロセミド
オイテンシン、ラシックス
カリウム保持性利尿薬
スビロノラウトン
アルダクトン
トリアムテレン
トリテレンン
エプレレノン
セララ

その他の降圧剤

高血圧の治療に古くから使用されてきた薬に末梢血管に直接作用して血管を広げる血管拡張剤、脳の中枢に作用する交感神経中枢抑制薬、交感神経を抑制するラウオルフィア製剤などがあります。これらは作用が強力で緊急に血圧を下げる場合のみ用いられます。また、他の薬ではどうしても効かない場合などに限定されます。

糖尿病の治療に使われる薬について

糖尿病とは?

血液中のブドウ糖(血糖)が過剰になった「高血糖」の状態が継続するいわゆる、高血糖症です。血液中のブドウ糖の量は、食事の影響を受けて変動しますが、すい臓のβ細胞から分泌される「インスリン」というホルモンの働きによって通常は、一定の範囲内に自動的に調整されます。しかし、十分なインスリンが分泌されなかったり機能しなかった場合、血液中に余分なブドウ糖が増加してしまいます。日本人の糖尿病の多くは、食事や運動不足による生活習慣病と密接に関連した「2型糖尿病」です。治療には、食事療法、運動療法を取り入れますが、それだけで間に合わない場合には、薬を服用します。

  • 1型糖尿病…すい臓のβ細胞が破壊され、インスリンが分泌されなくなるために高血糖になるタイプ。
  • 2型糖尿病…インスリンは分泌されるものの、必要な時に十分に分泌されなかったり、正常に作用しないために高血糖になるタイプ。長く続くと、インスリンを分泌する能力が低下する場合も。

高血糖の状態があまり長く続くと、網膜症、腎不全、神経障害といった病気をはじめ、さまざまな合併症が起こりやすくりなります。動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞とった危険性も高まります。
糖尿病本来の症状よりもこうした合併症の方が危険です。
最近では、高血糖の状態が続くと、その糖がすい臓のβ細胞のインスリ分泌能力を低下させ、さらにインスリン抵抗性を高めてしまうことが確認されています。この状態は、悪循環に陥りやすく、糖尿尿をさらに進行させる原因ともなります。糖尿病とわかったら早期に高血糖状態を改善する治療を行わなくてはなりません。

血糖コントロールの指標と評価

指標
可能
不可
不十分
不良
ヘモグロビンA1c(%)
5.8%未満
5.8~6.5
6.5~7.0
7.0~8.0
8.0以上
空腹時血糖値(mg/dl)
80~110
110~130
130~160
160以上
食後2時間(mg/dl)
80~140
140~180
180~200
220以上

糖尿病の合併症を予防するためには、「優」または、「良」の血糖コントロールが不可欠になる。

糖尿病の治療法

血糖値を下げるために行われる治療が、食事療法と運動療法、薬物療法の3つになります。2型糖尿病では、食事療法と運動療法で体重を適正ただし、インスリンの働きを正常化させることがまず治療の基本となります。
エネルギー量が適切で栄養バランスがとれているかなどが大切になります。実際、こういった生活習慣は、糖尿病でなくても心がけるべき習慣となります。糖尿病であれば、特に重要になるということです。
こうした習慣を心がけても血糖値が下がらない場合には、薬物療法を加えますが、処方される薬は、「経口血糖降下薬」や「インスリン製剤」です。
1型糖尿病の場合であれは、体外からインスリンを補う治療が必須となります。

治療に用いられる薬

経口血糖降下薬

糖尿病の薬物療法に用いる経口血糖降下薬は、主な作用により「インスリンの分泌を促進する薬」「糖の吸収を遅らせる薬」「インスリンの抵抗性を改善する薬」に分類され、病態に応じて単独で用いられたり、組み合わせて処方されます。

経口血糖降下薬の分類

分類名
一般名
代表的
商品名
作用時間
(時間)
特徴
スルホニル尿素
(SU)薬
第一世代
アセヘトヘキサミド
ジメリン
10~16
尿酸排泄作用もある
グリクロピラミド
デアメリン
6
 
グリブゾール
グルデアーゼ
12~24
 
クロルプロパミド
アベマイド
24~60
 
トルブタミド
ヘキストラスチノン
6~12
SU薬の中でも作用が緩やか
第二世代
クリクラジド
グリミクロン
6~24
作用は強力。網膜症の進行を防ぐ効果にも期待。
グリベンクラミド
オイグルコン
ダオニール
12~24
作用はSU薬の中で最も強い。
第三代
グリメピリド
アマリール
6~12
インスリン分泌作用とインスリン抵抗性改善作用を併せ持つ。
即効型インスリン分泌促進薬
ナテグリニド
ファスティック
スターシス
3
作用の効果があらわれるのが早く、食事の直前に服用。
ミチグリニド
グルファスト
3
ビグアナイド薬
ブホルミン
ジベトス
6~14
低血糖が起こりにくい
メトホルミン
グリコラン
メルビン、メデット
6~14
肥満を合併している場合に、有効。
チアゾリジン薬
ピオグリタゾン
アクトス
20
3ヶ月ほど継続しないと効果の有無がわからない。
α-グコシダーゼ阻害薬
アカルボース
グルコバイ
2~3
低血糖を起こしたらブドウ糖を用いる。
ポグリボース
ベイスン
2~3
ミグリトール
セイブル
1~2

スルホニル尿素(SU)薬

すい臓のβ細胞を刺激し、インスリンの分泌を活発にさせる薬です。経口血糖降下薬のなかでは最もメジャーな薬です。血糖降下作用についても強力です。ただし、インスリンを分泌する機能が保たれている人に有効な薬です。
次のように3世代に分類されます。

  • 第一世代…アセヘトヘキサミド、グリクロピラミド、グリブゾール、クロルプロパミド、トルブタミド
  • 第二世代…クリクラジド、グリベンクラミド
  • 第三世代…グリメピリド

現在は、第二世代と第三世代の薬が主に用いられています。種類により作用時間が異なり、医師の処方をきちんと守りながら服用しますが、通常は、1日1~2回、原則として食前に服用するのが一般的です。

使用上の注意と副作用

原則的には、少量から使いはじめ、除々に増量します。ある程度血糖値が下がってくると、空腹時や食事の時間が遅れた場合などに低血糖を起こすことがあるため注意が必要です。インスリンには、余剰分のブドウ糖を脂肪に蓄える性質があるため、体重増加も気を付けなければなりません。

即効型インスリン分泌促進薬

スルホニル尿素薬と同様に、すい臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を促進する働きがあります。特徴は、服用時間後、短時間ですぐにインスリンが分泌されます。ナテグリニド、とミチグリニドという薬があります。
食事のたびに服用しなければなりませんが、自然な状態に近いインスリン分泌が期待できます。
血糖値の変動が大きく、食後に極端に高くなる場合に、血糖値の急上昇を防ぐために服用する場合もあります。
単独で用いる場合以外に、α-グルコシダーゼ阻害薬やビグアナイド薬などと併用する場合もあります。スルホニル尿素薬とは併用できません。

使用上の注意と副作用

食事の直前(10分以内)に服用します。30分以上の時間があくと、食事をする前に低血糖が起こることがあります。副作用で軽い消化症状が現れることがあります。肝機能障害や腎障害のある人は、低血糖を常に気を付けながら服用します。

ビグアナイド薬

主に、肝臓でブドウ糖が生成されるのを抑制して血糖値上昇を防ぐ薬です。末梢組織でのインスリン抵抗性を改善する効果があります。肥満を合併している方に向いています。ブルホルミンとメルホルミンがあります。
1日2~3回、食後に服用します。単独で用いるほか、スルホニル尿素薬やインスリン製剤とも併用されます。

使用上の注意と副作用

ビグアナイド薬だけであれば、低血糖はほとんど起こりませんが、ほかの薬と併用している場合は、低血糖が起こりやすくなります。ごくごくまれに乳酸アシドーシスという意識障害を伴う副作用も起こる可能性があるので、無茶な飲酒、下痢などの脱水症状には十分注意します。
肝臓、心臓、腎臓、肺の機能障害がある人は厳禁です。

チアゾリジン薬

インスリンが機能する組織、筋肉、肝臓といった部位でのインスリン抵抗性を改善する薬で、インスリンの働きをよくします。現在、ピオグリタゾンという薬があります。1日1回、朝食前またh、朝食後に服用します。

使用上の注意と副作用

副作用は、むくみ、貧血、息切れなどがあります。心機能が弱っていたり、低下している人には慎重に扱うようにします。心不全、重症の肝機能障害・腎機能障害があれば処方しません。

α-グルコシダーゼ阻害薬

小腸内で炭水化物をブドウ糖まで分解する過程で働く酵素の働きを抑制する薬です。小腸での糖の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の急上昇を抑えます。
空腹時の血糖値はそれほどでもないのに食後の血糖値は急上昇してしまうタイプの糖尿病に処方します。スルホニル尿素薬やチアゾリジン薬、インスリン製剤との併用も行われます。アカルボース、ボグリボーズ、ミグリトールという薬があります。食事の直前に服用します。

使用上の注意と副作用

必ず食前に服用します。食後では効果がありません。飲み始めは、おなら、腹部膨満感などの副作用が出やすいのですが、続けて飲んでいるうちによくなります。肝臓に障害がでる副作用があるので、定期的に検査をします。

合併症治療薬

糖尿病の合併症である神経障害の治療にアルドース還元酵素阻害薬のエpルレスタットや神経障害治療薬のメキシレチンなどが用いられます。
腎臓の治療に、Ⅰ型の場合はACE阻害薬のイミダプリルやⅡ型の場合は、ARBのロサルタンなどの降圧剤を用いたり、血管拡張薬のイソクスプリンなどを用いることもあります。

インスリン製剤

糖尿病の薬物療法には、経口血糖降下以外に注射薬のインスリン製剤を用いるインスリン療法があります。

インスリン療法について

インスリン製剤を注射によって体外からインスリンを補い、すい臓からのインスリンに代わる働きをさせる方法です。従来は、Ⅰ型で使用されてきましたが、Ⅱ型でも経口薬が使えない場合はや、経口薬を使用しても血糖値のコントロールがうまくいかない場合などに必要になります。最近は、薬と注射器の進歩により痛みがなく自然に近い血糖コントロールが可能になりました。
すい臓からの正常なインスリン分泌には、常に一定量が分泌される基礎分泌と食事の際に血糖値の上昇に合わせて分泌される追加分泌があります。これらふたつの分泌が正常に機能して血糖値が一定の範囲内に保たれています。
現在のインスリン療法は、インスリン製剤で不足分を補うことで正常なインスリン分泌に近づけています。

インスリン製剤の種類

現在使われているインスリン製剤は、遺伝子工学の技術によって作られたヒト型インスリンです。作用時間の違いから

  • 超即効型
  • 即効型
  • 中間型
  • 特効型溶解(持続型)
  • 混合型

の5種類に分類されます。
超即効型、または即効型インスリンと中間型インスリンをあらかじめ混合したものが混合型になります。
基礎分泌の補充には中間型か特効型溶解が、追加分泌の補充には即効型か超即効型が用いられます。混合型は、基礎分泌と追加分泌の両方を補充します。
注射器のタイプは次のとおりです。

  • バイアル…瓶に入った従来型のインスリン製剤。単位目盛りのついた専用の使い捨て注射器に必要量を吸い上げて使う。
  • ペン型注射器用カートリッジ…カートリッジにインスリン製剤が入っていて、専用のペン型注射器に入れ替えて使用する。注射器のダイヤル目盛りで薬の量(単位)が設定可能。
  • 使い捨てペン型注射器…ペン型注射器にあらかじめインスリン製剤が入った一体型。カートリッジの入替えが不要の使い捨てタイプ。

現在は、ペン型注射器が主流になっています。注射の方法は、カートリッジ式と同様です。

インスリン製剤の種類と作用時間

作用
一般名
商品名
服用方法と効果
超即効型
10~15分で作用し、速やかにピークに達して速やかに消失。
インスリンアスパルト
ノポラピッド
食事の直前に服用。追加分泌を補充する。
インスリンリスプロ
ヒューマログ
即効型
約30分で作用し、ピークは2時間後。作用の持続時間は、5~8時間
ヒトインスリン
  • イノレットR
  • イボリンR
  • ヒューマカートR
  • ヒューマリンR
  • ペンフィルR
食前に服用。追加分泌を補充する。
中間型
1時間ほどで作用し始め、緩やかにピークに達してゆっくりと消える。作用時の持続時間は18~24時間。
ヒトインスリン
  • イノレットN
  • イボリンN
  • ヒューマカートN
  • ヒューマリンN
  • ペンフィルN
1日に1~3回服用し、主に基礎分泌を補充。
インスリンリスプロ ヒューマログN
特効型溶解
1時間ほどで作用しはじめ、明らかなピークはなくほぼ24時間継続して作用する。
インスリングラルギン
ランタス
1日に1~2回服用し、基礎分泌を補充。
インスリンデテミル
レベミル
混合型
超即効型または即効型と中間型を混合。組み合わせ方によって作用時間などは異なる
インスリンアスパルト
ノボラピッド30ミックス 1日に1~2回服用し、基礎分泌と追加分泌を補う。
ヒトインスリン
  • イノレット30~50R
  • ノボリン30~50R
  • ペンフィル30~50R
  • ヒューマカート3/7
  • ヒューマリン3/7
インスリンリスプロ
ヒューマログミックス25、50

注射の方法

インスリン注射に適するのは、次の部位となります。腕の外側、臀部、大腿部の上で半分の外型部分、腹部です。腹部は薬の吸収がよく皮下に注入しやく最も適しています。穿す場所は毎回かえるようにします。
皮膚を軽くつまんで筋肉に達しないように皮下に注射します。注射針は1回使用したら毎回捨て、次から新しいものを使います。
血糖のコントロールをできるだけ自然な形のインスリン分泌に近づけるには、適切なタイプのインスリン製剤を適切な量、そしてタイミングで補う必要があります。
毎食前に即効型または、超即効型を、就寝前に中間型または、特効溶解型を1日4回注射するのが基本的な方法です。

血糖を下げる目的は誰もが同じでもインスリン分泌の状態や生活状況、食事などにもよりそれぞれ異なります。

使用上の注意と副作用

インスリンは血糖を下げる作用があるため、低血糖を起こす場合もあります。また、同じ部位ばかりに注射し続けると皮膚が硬くなったりでこぼこしたりします。注射する部位は毎回変えていくようにします。