アルコール依存症における飲酒量低減薬 「セリンクロ錠10㎎

アルコール依存症(使用障害)に対する飲酒量低減薬「ナルメフェン塩酸塩水和物(製品名セリンクロ錠/大塚製薬)」についてです。

これまでのアルコール使用障害の治療手段は断酒に限られていました。しかし患者の抵抗感が強く、断酒に至らず脱落するケースが多く成果があまりでませんでした。特に、早期ほど拒否する傾向があるのが特徴です。まだ社会生活が維持できている段階なので「断酒=アルコール使用障害」という診断を簡単には受け入れ難いと思われます。

これまでのアルコール依存症の薬(抗酒薬)はこちら。

このため近年は、「いきなり断酒」ではなく、段階的に飲酒による害を減らすハームリダクションの概念が提唱されています。『新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン』でも、軽度の使用障害で、明らかな合併症がない場合は「飲酒低減が治療目標になる」と明記されました。

アルコール依存症は、多量な飲酒を繰り返すことで飲酒したいという欲求が強くなり、飲酒行動をコントロールすることが難しくなる疾患です。健康や仕事、家庭生活に重大な支障をきたすことで、社会的・経済的な影響が大きいとされています。
最新のアルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインでは、最終的な治療目標は原則的に断酒の達成とその継続とした上で、飲酒量低減治療は断酒に導くための中間的ステップあるいは治療目標の1つとして位置づけられています。セリンクロが飲酒量低減治療の新たな選択肢となることにより、アルコール依存症患者さんの治療に貢献することが期待されます。

製品名
セリンクロ錠10mg
一般名
ナルメフェン塩酸塩水和物
効能・効果
アルコール依存症患者における飲酒量の低減
効能・効果に関連する使用上の注意
(1) アルコール依存症の治療目標は、原則、断酒の達成とその継続である。アルコール依存症に伴う精神・身体症状及び患者の意思を総合的に勘案し、断酒ではなく飲酒量低減を治療目標とすることが適切と判断された患者に対して本剤を投与すること。

(2) アルコール依存症治療の主体は心理社会的治療であることから、服薬遵守及び飲酒量の低減を目的とした心理社会的治療と併用すること。[服薬遵守及び飲酒量の低減を目的とした心理社会的治療と併用していない場合の有効性は確立していない。]

(3) アルコール依存症の診断は、国際疾病分類等の適切な診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。

(4) 習慣的に多量飲酒が認められる患者に使用すること。その目安は、純アルコールとして1日平均男性60g超、女性40g超の飲酒量とすること。

(5) 緊急の治療を要するアルコール離脱症状(幻覚、痙攣、振戦せん妄等)を呈している患者では、離脱症状に対する治療が終了してから使用すること。[緊急の治療を要するアルコール離脱症状が認められる患者における安全性及び有効性は確立していない。]

(6) 飲酒量低減治療の意思のある患者にのみ使用すること。