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高齢者が注意する薬の副作用について

高齢になると、どうしても受診する病院や科が増えそれに伴って服用する薬が増えます。加齢により体の機能が衰るために、副作用も起こりやすくなります。

薬の副作用「加齢による機能低下で副作用が起こりやすくなる」

年齢が上がるにつれて病気も増え、治療薬も増えてるのが一般的です。60歳代ではおよそ6割、70歳代ではおよろ8割を超える人が薬を日常的に服用しています。不快な症状や異常を治療するために薬は必要ですが、心配になるのが副作用です。

どうしても高齢になるほど副作用が起こる頻度は高くなります。ある調査では、70歳を過ぎるころから副作用の頻度が高くなり、85歳以上では20%を超える人に副作用がみられました。高齢になると複数の病気をもつ人が多くなり、それに伴って使う薬の種類も多くなります。また、体の機能が低下して薬の成分が体内にとどまる時間が長くなり、さらに、薬の種類が多いことなどがのみ忘れやのみ問違いにもつながりやすく、高齢者には副作用が現れやすいのです。

高齢者に多い副作用としては、「鎮痛薬」をのんだときの「胃の痛み」、「睡眠薬」や「降圧薬」による「ふらつき」「転倒」などがあります。また、場合によっては重症化して命にかかわる副作用もあります。もとの病気を治すための薬が副作用の方が大きく影響してしまったら元も子もありません。

高齢者に起こりやすい副作用「肝臓・腎臓」

高齢になれば誰でも体の機能低下がみられます。なかでも薬の副作用に影響がでるのが「肝機能」「腎機能」です。また「感覚機能の低下」も同様です。服用した薬は胃→小腸→肝臓→腎臓という順番に運ばれます。体内で働く薬の量の目安になるのが、血液中の薬の量を示す「血中濃度」です。薬は決められた用法・用量であれば、最も有効な範囲に血中濃度が保たれるようにつくられています。血中濃度が低いと十分な効果が得られず、逆に血中濃度が高いと、副作用が現れやすくなります。
加齢によって肝臓や腎臓の機能が低下すると、薬を分解したり、排泄したりする力が弱くなります。それによって高齢者では、薬が体内に長くとどまり、薬の効果が強く現れたり、作用が長く続きやすくなります。また、高齢者が成人と同じ量の薬をのむと、薬の血中濃度が高くなり、副作用が現れやすくなります。通常、治療の開始時は一般成人の約半分の量から始め、様子を見ながら増やします。

高齢者は内臓の機能以外に、筋力や感覚機能も低下しています。加齢によって筋力が低下しているところに、例えば睡眠薬のように筋肉を弛壊させる作用のある薬をのむと、転倒しやすくなります。また、降圧薬をのんで「めまい」やふらつきが起こると、体を支えきれずに転倒することもあります。
高齢者は骨も弱くなっているため、転倒すると骨折をしたりして、場合によっては、寝たきりにつながることもあります。

便秘や発疹には注意

ふらつきや胃の痛み以外で高齢者に起こりやすい副作用には、腸の働きの低下による便秘があります。便秘は「アレルギー性鼻炎」などの治療で使われる「抗ヒスタミン薬」などで起こりやすく、悪化するとまれに「腸閉塞」が起こるケースもあります。
ほかにも「口が乾く」「尿が出にくい」「眠気」、発疹なども起こることがあります。特に注意が必要なのが発疹です。発疹は、若い人にも起こる可能性がある副作用で、なかには、全身に広がって重症化する危険なものがあります。薬を使っていて発疹が現れたら、重篤な副作用である場合が多いのですぐに医療機関を受診します。

副作用を防ぐのは飲み忘れと服用後の体調変化に注意すること

まず、高齢になれば誰でも副作用がでやすくなるということを頭に入れておきます。そして、なるべく副作用が起こらないように工夫をして、もし現れたときには早めに対処することが大切です。どんな薬でも副作用が起こる可能性はあるので、薬を服用しているときは、自分の体調によく注意します。薬が処方されたとき、種類が変更になったとき、増量されたとき、減量された時は特に注意し体からのサインを見落とさないようにします。
体調に変化がないかなど、自分自身をよく観察するようにしてください。少しでも心配な症状が現れたら、「どの薬をのんで、いつ、どのような症状が起こつたか」をメモしておきましょう。そして、必ず医師や薬剤師に相談して、指示に従うようにしてください。

注意した薬の飲み合わせ

複数の薬を飲むケースが多くなる高齢者は薬の飲み合わせにも十分注意しなければなりません。薬ののみ合わせによって起こる問題には、主に次の4 つのタイプがあります。

  1. 同じ作用が重なるタイプ
    同じような作用をもつ薬を一緒に服用すると、その作用が重なって効き目が強くなりすぎてしまいます。薬の効き目が強すぎると副作用につながります。
  2. 逆の作用が重なるタイプ
    相反する作用をもつ薬を一緒に服用すると、お互いの作用を打ち消し合って、効き目が弱くなります。そのため、薬の効果が出にくくなることがあります。
  3. 結合するタイプ
    薬の成分どうしが結合して別の物質になり、体内に吸収されにくくなります。そのために、薬の効果が発揮できなくなります。
  4. 分解に影響するタイプ
    薬は肝臓で「酵素」によって分解されます。一方の薬が酵素の働きを抑えてしまうと、もう一方の薬が体内に長くとどまって効き目が強くなります。逆に、酵素の働きが促進されると、薬が早く分解されてしまうため、効き目が弱くなります

ワルファリンと鎮痛薬

ワルファリンは血液を固まりにくくする薬ですが、鎮痛薬もワルファリンと同様の作用をもっています。そのため、2つの薬を一緒にのむと、同様の作用が重なってワルファリンの効き目が強くなってしまい、出血しやすくなります。ワルファリンは「脳梗塞」を起こしたときなどに使われますが、一緒に鎮痛薬をのむと、「脳出血」を起こす危険性が高まります。鎮痛薬を長期間服用する場合は、医師がワルファリンの量を減らすなどして調節します。

ビスホスホネートとカルシウム剤

「ビスホスホネート」は「骨粗鬆症」の治療薬です。骨粗鬆症の治療では、「カルシウム剤」もよく使われます。しかし、カルシウム剤やカルシウムを多く含むミネラルウォーターと一緒にのむと、おなかの中でカルシウムと結合して、体内に吸収されなくなってしまいます。薬の効果を得るため、ビスホスホネートは起床後すぐに服用し、その後30分間は何も食べたり飲んだりしないのが基本です。30分たてば、カルシウムを含む牛乳などをとっても問題はありません。

イトラコナゾールとほかの薬

「イトラコナゾール」は、水虫などの治療に使う薬で、さまざまな薬を分解する酵素の働きを妨げる作用をもっています。そのため、ほかの薬と一緒にのむと、ほかの薬の効き目が強くなり、副作用につながりやすくなります。ほかの薬と併用する場合は、薬の分解に影響が現れないものに替える必要があります。使用している薬を必ず医師に伝えてください。

薬と食品の組み合わせ

カルシウム拮抗薬+グレープフルーツ

薬と一緒に食べたり飲んだりすると、影響を及ぼす食品もあります。カルシウム拮抗薬とグレープフルーツ「カルシウム拮抗薬」は高血圧などの治療薬ですが、「グレープフルーツ」やそのジュースを多く摂取すると、一部のカルシウム括抗薬で、その分解が妨げられてしまいます。すると、薬の「血中濃度」が高くなって、血圧が下がりすぎてしまいます。この相互作用は、摂取してから1~3日問程度続くとされます。

ワルファリン+納豆

血液を固まりにくくする作用があるワルファリンと、止血作用をもつ「ビタミンK」を一緒にとると、薬の作用が打ち消されてしまいます。そのため、「血栓」ができやすくなり、脳梗塞につながるおそれもあります。ビタミンKは、「納豆」などに豊富に含まれています。薬と一緒に納豆を1パック程度食べると、3日間ほど相互作用が続くとされます。

抗うつ薬+アルコール飲料

「アルコール」には中枢神経を抑制する作用があるので、お酒は、さまざまな薬とののみ合わせに注意が必要です。特に注意が必要なのが、中枢神経を抑制する作用をもつ「抗うつ薬」「向精神薬」「精神安定薬」などです。
これらの薬をアルコール飲料と一緒にのむと、同じ作用が重なつて薬の作用がより強くなります。場合によっては「意識障害」や「呼吸困難」が起こるおそれもあります。アルコール飲料と同時に薬をのんだ場合だけでなく、体内にアルコールが残っている場合にも影響はあります。体内にアルコールが残っている場合にはこれらの薬は飲んではいけません。

花粉症に使われる薬

花粉症とは?

花粉症は、植物の花粉によって起こるアレルギー性の病気で、原因となる花粉が飛ぶ時期になると症状が現れます。主な症状は、中「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」などのアレルギー性鼻炎の症状で、しばしば「目のかゆみ、充血」などを伴います。

アレルギー症状の起こる仕組み

アレルギーの原因となる花粉(抗原)が体内に入ると、それに対する「抗体」ができます。この抗体が鼻や目の粘膜にある「肥満細胞」に結合して、アレギーの準備状態(感作)が成立します。この状態で、抗原が再び体内に入って、肥満細胞に結合した抗体と反応すると、肥満細胞から十ケミカルメディエーター」と呼ばれる化学物質が放出され、これが粘膜を刺激することによって症状が起こりなす。そのうちの「ヒスタミン」が鼻粘膜の神経を刺激すると「くしゃみ」と「鼻水」が起こります。また、「ロイコトリエン」などが鼻粘膜の血管を刺激することにより、血液中の水分が漏れ出て粘膜がむくんだり、血管が拡張して粘膜が腫れたりして、「鼻づまり」が起こります。

治療法

治療の第一歩は、体に入る抗原の量を減らすことです。外出時にマスクや眼鏡を使うなど、花粉になるべく触れないようにします。こうした対処だけで症状が抑えられない場合は次のような治療を行います。

  • 薬物療法
    症状を抑える薬を用います。症状の起こる仕組みの違いから、花粉症の治療は、中心となる症状によって「くしゃみ・鼻水型」「鼻づまり型」の2つの病型に大きく分けて考え、薬も、病型と重症度に応じて選択されます。例年強い症状がある人は、症状が出る前から予防的治療(初期療法)を行うことが勧められています。
  • 免疫療法
    原因となっている花粉のエキスを少しずつ注射することで、花粉への反応を弱めていく治療です。
  • 手術療法
    強い鼻づまりに対して、鼻の粘膜を切除したり、レーザーで焼いたりする手術を行うことがあります。鼻水に対しては、神経を切断する手術があります。

治療薬に用いる薬

アレルギー性鼻炎に対して用いる薬は、現在、主な作用によって次のように分類されています。

ケミカルメディエータ一遊離抑制薬

「肥満細胞安定薬」ともいわれ、アレルギー症状を起こすヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどの化学物質(ケミカルメディエーター) が肥満細胞から放出されるのを抑える薬です。くしゃみ・鼻水と鼻づまりの両方に効果があり、内服薬、鼻噴霧薬、点眼薬が使われています。「アンレキサノクス」「クロモグリナ酸ナトリウム」「トラニラスト」「ペミロラストカリウム」という薬があります。作用が穏やかで、副作用が比較的少ないので、初期療法によく用いられますが、十分な効果が現れるまでに2週間ほどかかるため、花粉の飛散が本格化するより前に使用しないと効果がありません。

ケミカルメディエータ1受容体桔抗薬

肥満細胞から放出されたケミカルメディエーターが粘膜の受容体に結合するのを防ぐことで、粘膜への刺激を抑える薬です。

第一世代抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが受容体に結合するのを防ぎ、くしゃみ、鼻水、かゆみを抑える作用があります。第1世代抗ヒスタミン薬は、古くからある薬で、長い間、花粉症などのアレルギー性鼻炎治療の中心でした。抗ヒスタミン作用は強力で、くしゃみ・鼻水に速くよく効きますが、副作用として眠気が強く出て、胃腸障害などが起こることがあります。また、抗コリン作用があるため、口が渇いたぜんりつせんり、一部の緑内障や前立腺肥大症、気管支ぜんそくなどを悪化させることがあり、これらの病気がある人は使えません。現在は、くしゃみ・鼻水がひどいときだけのむ頓服薬として「フマル酸クレマスチン」と「d・マレイン酸タロルフエl二フミン」が処方されるくらいですが、市販の花粉症・アレルギー性鼻炎の薬の多くに、この薬が含まれています。

第2世代抗ヒスタミン薬

第1世代抗ヒスタミン薬の眠気と抗コリン作用を減らそうと開発されてきた薬で、多くの種類があり、現在、花粉症治療の中心的な薬となっています。多くが内服薬ですが、鼻噴霧用、点眼用の薬もあります。一般に新しい薬のほうが眠気は出にくく改善されており、最近では「塩酸オロパタジン」「塩酸フェキソフェナジン」「ベジル酸ベポタスチン」「ロラタジン」などがよく用いられています。働きの中心は抗ヒスタミン作用ですが、ほかにもさまざまな働きがあり、くしゃみ・鼻水ばかりでなく、鼻づまりにも効果があるとされる薬もあります。副作用は第1世代より軽減されていますが、眠気や口の渇きが出たり、ほかの薬との相互作用に注意が必要なものもあります。

坑口イコトリエン薬

気管支ぜんそくの治療に使われる薬ですが、アレルギー性鼻炎に対しては「プランルカスト水和物」という内服薬があります。ロイコトリエンが鼻の粘膜や気管支にある受容体に結合するのを防いで、粘膜のむくみや腫れを抑える作用があり、主に鼻づまりの改善のために使われます。くしゃみ・鼻水にもある程度の効果があります。のみ始めから1週間ほどで効果が現れてきます。副作用で下痢、腹痛、吐き気などが起こることがあります。

抗プロスタグランジンD2/トロンボキサンA2薬

主に鼻づまりの改善のために用いられている薬で、「ラマトロバン」という内服薬があります。鼻粘膜などのトロンボキサンの受容体を遮断して鼻づまりを改善します。また、プロスタグランジンD2の受容体を遮断して鼻粘膜の過敏性を抑えるため、くしゃみ・鼻水にも効果があります。ただ、効果の現れ方は緩やかで、ピークに達するまでに4週間ほどかかります。副作用で血液が固まりにくくなることがあり、ワルファリンカリウムやアスピリンをのんでいる人には適しません。肝障害が起こる可能性があるので、定期的な肝機能検査が必要とされています。

Th2サイトカイン阻害薬

主に抗体をつくる命令を出すリンパ球(Th2)に働きかけて、抗体をつくりにくくしようという薬で、「トシル酸スプラタスト」という内服薬があります。長期間のみ続けないと効果が現れず、また、症状を強力に抑える薬ではないため、花粉症の治療では、あまり一般的な薬ではありません。人によっては、胃腸障害、肝障害、腎障害などの副作用が起こることがあります。

ステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)

アレルギー反応を起こしにくくして、炎症を抑える作用があります。花粉症の鼻炎症状に対しては、通常、鼻噴霧用ステロイド薬の「プロピオン酸フルチカゾン」「プロピオン酸ベクロメタゾン」を用います。くしゃみ・鼻水にも鼻づまりにも効き、ほかの薬よりも高い効果があります。第2世代抗ヒスタミン薬などの内服薬との併用が一般的で、鼻づまり型を中心に、症状が重いほど、この薬の必要度が高くなるといえます。使い始めて2~3日で効果が現れてきますが、決められたとおり定期的に使わないと、十分な効果が発揮されません。
全身的な副作用はほとんどありません。鼻噴霧薬でどうしても症状が抑えられななければ、経口用ステロイド薬を用いることもありますが、副腎の機能を抑制するので、長期間使うと、副作用で骨粗鬆症や胃潰瘍、糖尿病などが起こることがあります。そのため、1週間以内など、できるだけ短期間に限って使います。花粉症には、第1世代抗ヒスタミン薬との配合薬である「ベタメタゾン・dマレイン酸クロルフェニラミン」がよく使われています。

血管収縮薬(α交感神経刺激薬

ひどい鼻づまりに対して、一時的に用いる点鼻薬です。点鼻するとすぐに鼻が通ってきますが、効果が続くのは数時間程度です。使い続けると効果の持続時間が短くなり、量を増やさないと効かなくなります。薬の使いすぎでかえって鼻づまりになる「薬剤性鼻炎」を招きやすく、連用は禁物です。鼻づまりが非常に強いときには、この薬で鼻が通った後にステロイド薬を噴霧するようにして治療を始め、徐々にステロイド薬だけに切り替えていきます。

その他

漢方薬の「小青竜湯」などが使われることがあります。

花粉症の治療薬の選択

花粉症薬

花粉症薬

つらいくしゃみ、鼻水、鼻づまりには眠気を抑えたアレルギー性鼻炎薬がおすすめ

不眠の治療に使われる薬

不眠症とは?

日本人の成人の4~5人に1人は、不眠で悩まされています。原因は、個人個人様々で複雑なケースもありますが、ごくごく単純な場合もあります。心配事や、緊張、不安といったストレスがあれば誰でも眠れなくなることはよくあります。
緊張による不眠はかなりの割合でたくさんの方が悩まされています。かゆみ、痛みなど病気が原因でも睡眠が妨げられることがあります。
眠りにつくとあらわれる症状で手足の筋肉が自分の意志とは無関係に動いてしまう「周期性四肢運動障害」や眠ろうとして横になると足に異常な感覚が生じる「むずむず脚症候群」、睡眠中に呼吸が停止してしまう「睡眠時無呼吸症候群」などの病気が原因で不眠になってしまう人もいます。
また、精神的な理由による心の病気などでも不眠が起こりやすくなります。鬱病などでは、最初の兆候が不眠である場合がとても多いです。こうした事以外でもカフェインやアルコール、服用中の薬の副作用などでも不眠になることがあります。睡眠を妨げる明らかな原因や不眠を起こす病気などがないのに、1ヶ月以上不眠が続き、そのために日中に心身の不調が生じる状態を「不眠」と定義しています。
不眠のタイプには次の4つのタイプがあります。

  • 入眠障害…なかなか寝付けない
  • 中途覚醒…夜中に目が覚める
  • 早朝覚醒…早朝に目が覚めてしまう
  • 熟眠障害…熟睡感を自覚できない

治療法

不眠の解消には、睡眠を妨げている原因をさがし、その原因を取り除くことがポイントとなります。不眠の原因になっている病気があれば治療を行うことが先決です。生活習慣を改善して生活のリズムを整えることも重要です。
ただ、自分でできる範囲のことを行っても眠れない場合、原因の特定が難しい場合には、睡眠薬を用いた処方も必要になります。最近の睡眠薬は正しく用いれば安全に使えるものがほとんどです。薬で不眠のつらさを軽減しながらよい睡眠が十分にとれる生活を目指します。

不眠治療に使われる薬

睡眠薬は、「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」と「バルビツール酸系」など古くからの薬の2タイプに分けられます。現在、不眠症の治療に使われるのは、ベンゾジアゼピン受容体作動薬です。睡眠薬というのは、これを指します。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬

ベンゾジアゼピン関連物質と呼ばれることもある薬です。医師から「精神安定剤」と説明された人もいるかもしれません。眠りを起こす脳の部位(睡眠中枢)に作用して自然な眠りを起こす薬でかつてよく使われていたバルビツール系の睡眠薬のような薬への依存性が生じにくく、安全性が高い薬です。

睡眠薬の種類と使い分け

睡眠は作用時間によって4種類に分けられ、文のタイプに応じ使い分けられます。作用時間が短い、「超短時間作用型」と「短時間作用型」の薬は、入眠時のみに効き、翌朝に作用を持ち越しません。
寝付きの悪い人向けの薬です。「睡眠導入薬」「入眠薬」というのもこのタイプに入ります。
一方、やや長時間穏やかに効く「中時間作用型」や「長時間作用型」の薬は、夜中に何度も目がさめる「中途覚醒」や早朝に目覚める人に向いています。
また、睡眠薬は、併せ持つ作用面から2種類に分けられ、不眠に伴う症状によって使い分けられます。薬が作用するベンゾジアゼピン受容体のうちΩ1受容体は、鎮静催眠作用にΩ2受容体は、抗不安作用や弛緩作用に関わっているようです。
現在、主に使われている睡眠薬は、どちらの受容体にも作用するため鎮静睡眠作用と併せて抗不安作用や筋弛緩作用をもちますが、最近登場したΩ1受容体に選択的に作用する睡眠薬はΩ2受容体への阿庄が弱く、抗不安作用や筋弛緩作用をほとんど伴いません。
一般に強い緊張や不安がある人や肩こりなどを伴う人には、Ω2受容体への作用を併せ持つ薬のほうが向き、そうでない人は、Ω1受容体に選択的に作用する薬のほうが副作用が出にくいといえます。

服用の仕方

睡眠薬は、就寝前に、医師に指示されたとおりの量を服用します。生活を規則正しくし、時間を決めて服用することが大切です。睡眠薬は、服用して30分ほどで効き始めます。服用後はすぐに眠らないと、記憶障害などが起こる場合があるので注意します。服用後は、30分以内に寝るようにします。

使用上の注意と副作用

睡眠薬の主な副作用としては、次ぎのようなものが代表的です。

  • 持ち越し効果…薬の作用が長く続きすぎて、朝起きたときにぼんやりしたり、眠気が続くことがあります。この場合、薬の作用時間、量の見直しが必要です。
  • 記憶障害…「服用から寝付くまでの時間」「睡眠中に起こされた」「翌朝」など薬が効いている間の記憶が一部抜け落ちることがあります。アルコールと併用すると頻度が高くなります。
  • 筋肉の脱力…筋肉の緊張をほぐす作用によるものでΩ2受容体への作用をもつ薬で現れます。転びやすくなります。
  • アルコール…睡眠薬の吸収を高めて作用を増強する上、脳に対する作用が重複するので副作用が強く現れます。
  • 薬…抗ヒスタミン薬、マクロライド系抗菌薬、シメチジン(胃潰瘍などの薬)、抗真菌薬、カルシウム拮抗薬などが睡眠薬の効果を増強する場合があります。

その他の薬

従来からの睡眠薬である「バルビツール酸系」「非バルビツール酸系」は、脳全体の機能を麻痺させ、呼吸中枢にも作用する薬です。継続して服用すると、耐性や依存性が生じやすく、多量に服用すると生命の危険もあります。検査やてんかんなどの治療に使われますが、不眠の治療には使われていません。緊張や不安が強い人の不眠には、ベンゾジアゼピン受容体に作用するジアゼパムなどの「抗不安薬」を用いることもあります。鬱病の不眠には、「抗うつ薬」で催眠作用をもつものを使う場合もあります。

不眠症のタイプに応じた薬の使い分け(一覧)

 
入眠障害
中途覚醒、早朝覚醒
  • 神経的傾向が弱い場合
  • 脱力ふらつきが出やすい場合
  • ゾルビデム(マイスリー)
  • ゾクピロン(アモバンなど)
  • クアゼパム(ドラールなど)
  • 神経症的傾向が強い場合
  • 肩こりなどを伴う場合
  • トリアゾラム(ハルシオンなど)
  • ブロチゾラム(レンドルミンなど)
  • ロルメタゼパム(エバミール、ロラメット)
  • リルマザホン(リスミーなど)
  • エチゾラム(デバスなど)
  • フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)
  • ニトラゼパム(ネルボン、ベンザリンなど)
  • エスタゾラム(エリミン)
  • フルラゼパム(ダルメート、ベノジールなど)
  • ハロキサゾラム(ソメリン)

最近では、ドラッグストアーや薬局でも処方箋不要で睡眠薬が購入できるようになっています。こちらです。

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